- 業績が悪化しているビジネスの立て直しを任された
- 課題を抱えている部署のマネージャーになった
- 管理職として自分の部署の構造改革をしなければならない
そのようなときに何から始められますか? 担当する部署のヒアリングでしょうか? まずはチームとの関係構築からでしょうか?
確かに部署の状況を知るためのヒアリングやチームとの関係構築は変革に欠かせません。しかし、それ以外にもおろそかにしてはいけないことがあります。それは、企業を取り巻く環境を理解し、環境に合わせて戦略を定義し、戦略に沿って組織設計することです。環境と戦略と組織が一貫性がなければ、企業活動を維持し続けることは困難でしょう。
今回、組織デザインを行う際に必ず考えなければいけない3つのステップをお伝えします。
- 組織を取り巻く環境を知る
- 環境に合わせて戦略を立てる
- 戦略に沿って組織を見直す
組織を取り巻く環境を知る
企業を取り巻く環境は日々変化しています。進化生物学の観点からいうと、生物は変わり続ける環境に適応できないと生き残ることができません。ビジネスの世界でも同じことが言えます。
コロナのような予測できない事態が起こっても、すばやく戦略を変更し、戦える組織を作れる企業が生き残るのです。
そのため、組織の見直しを伴う規模のチェンジマネジメントを行う場合、まず取り巻く環境を把握することから始めます。
あなたの組織を取り巻く環境はどのような状況でしょうか?変化が激しい環境でしょうか?それとも安定な環境でしょうか?
環境に合わせて戦略を立てる
次に取り巻く環境で生き残るための戦略を立てます。例えば、変化の少ない安定した環境であれば、多くのケースにおいて「価格」が競争優位を⽣み出すため、低コストを実現する効率性が戦略の要素になるでしょう。逆に、変化が激しい環境であれば、⾰新性が競争優位性になるため、イノベーションを⽣み出すことが戦略の⼀部になるでしょう。
戦略には3つの重要な要素をふくめる必要があります。ゴール、スコープ、ロジックです。
ゴール
ゴールを設定していないチームは、やみくもに未知の目的地にむかうようなものです。組織として何かを達成するためには、終点を明確にする必要があります。
戦略において「最良の~」や「株主の価値を最大化する」というような言葉がよく使われますが、ゴールに独自性があるかを留意する必要があります。例えば、「〇〇市場でグローバルリーダーになる」というゴールを競合他社も設定しているのであれば、再考が必要でしょう。ゴールは組織が競争優位を得るためのものなので、競合と差別化ができるように、もう少し掘り下げてゴールを設定する必要があります。
スコープ
戦略のスコープは、組織がどこに力を注ぐかを示すものです。通常、商品、マーケット、マーケットセグメント、顧客などで定義します。例えば、イケアは洗練されたデザインの商品を安価に提供することに注力しています。カスタマーサービスには注力しておらず、セルフサービス中心で商品を提供しています。そのため、至れり尽くせりのクオリティの高いカスタマ―サービスを求める顧客は彼らのスコープ外となります。
このように、明確にスコープを定義することで、組織のヒト・モノ・カネを、注力すべきところに効率的に使うことができるのです。
ロジック
戦略のロジックは、定義したスコープの中で、どのようにゴールを達成するのかを説明するものです。つまり、組織の競争優位の特徴を説明するものです。
あなたの組織が、競合他社とは違うやり方、優位なやり方でできることとは何でしょうか?あなたの組織がユニークな点、競争優位がある点は何でしょうか?
戦略のゴール、スコープ、ロジックが明確でないと、組織のメンバーは、どこに向かうのか、どこに注力すべきか、どのようにゴールを達成するのかを理解することができず、チームで一枚岩になることができません。組織の立て直しを行う場合、戦略は必ず、変革の初期のフェーズで定義し、社員にコミュニケーションします。
戦略に沿って組織を見直す
組織は戦略に従ってゴールを達成するために構成されるチームです。そのため「戦略を達成するためにはどのような組織であるべきか」を考え、組織設計することが必要です。
変化の激しい環境のなか生き抜く戦略であれば、組織はアジャイル(俊敏)に柔軟に対応することが求められます。逆に安定した環境で他社より優位になるには、日々効率性・コスト低減を求め、改善を目指すために最適な組織を設計することになるでしょう。
ときにあるのが、既存の各部門、部署のトップからの抵抗を避けたいがばかりに、既存の組織をベースに、波風を立てないことを目指して組織を組み替えるということです。
抵抗対策の一環と考えてのことでしょうが、組織の目標を達成するために、組織を組み替えるのにも関わらず、社内の抵抗対策が目的にすり替わるのは本末転倒です。
あくまでゴールを達成するためには、どのような組織であるべきかという視点を持ちながら、どのように抵抗を抑えるのかを同時に考える必要があるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
組織の立て直しを行うときには、環境と戦略、組織が一貫していることが絶対に必要です。
組織の立て直しを任されたときは、ぜひ一度環境、戦略、組織が一気通貫で考えられているか、確認されることをおすすめします。
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参考
- Strategic Change Management, Executive Education, Kellogg School of Management