- 業績が悪化している組織の改革を任された
- 成果が出ていない部署のマネジメントを任された
- 職場環境の改善を任された
などの組織の立て直しを任されたとき、何から始めればいいだろうと戸惑われたことはありませんか?
組織・チームで何かを変えようとするとき、必ず発生するのが人の「変化に対する心理的な抵抗」です。この「心理的な抵抗」を考慮せずに、強硬に何かを変えようとすると、
- 社員・チームの抵抗にあう
- 社員・チームのモチベーションが下がる
- 離職率が悪化する
- 生産性が低下する
などの問題が発生し、成果を出せなくなる可能性が高くなります。
チェンジマネジメントでは、この人の心理的な抵抗を和らげ、組織の立て直しを成功させるためのプロセス・ツール・ノウハウを体系化しています。今回はその中から、組織の立て直しを行う際に必ずすべきことをお伝えします。
有料電子会員525万人 DXに成功したNYタイムズが行ったチェンジマネジメントとは
NYタイムズ前CEOのトンプソン氏は、新聞ビジネスが衰退する中、組織の立て直しを行い、見事デジタルシフトを成功させ、有料電子会員525万人を獲得。NYタイムズは一人勝ちの状態です。彼の組織再編の成功の秘訣とは?
変化への抵抗は当たり前の反応
組織の立て直しの計画を立てる前に、念頭に置いておかなければいけないのは、人は変化を嫌う生き物だということです。これは数々の脳神経科学の研究結果から立証されています。それらの研究結果の中で代表的なものを2つご紹介します。
変化は不確実性を伴う
先が予測できない状態になると、人間の脳は「危機への反応」を処理する領域にシグナルを送ります。この領域にシグナルが送られると、通常思考で使うエネルギーがこの領域に消費されてしまうので、理性的思考が弱くなり、感情的思考が強くなります。
例えば新型コロナウィルスが最初に感染拡大しはじめたとき、トイレットペーパーを買い占める、出所が確かでないフェイクニュースを信じるなどの現象が発生したのは、先が見えない不安から、論理的思考が停止し、感情的思考が先だったからといえるでしょう。
先が不確実であればあるほど、人は論理的に考えられなくなり、ネガティブな感情にとらわれるようになります。
変化はエネルギーを必要とする
変化は脳にとって新しい情報です。新しい情報を処理するにはたくさんのエネルギーを使います。脳は省エネを好むため、人間は無意識のうちに変化を避け、省エネで処理できる現状を維持しようとします。
例えば、スマートフォンを新しいメーカーのものにしたとき、最初は使い方がよくわからずストレスに感じるというような状況がこれにあたります。
もちろん、人間は自ら変化を選ぶこともあります。しかし大抵は、先に大きなリスクがないことがわかっている、または自分で先をコントロールできることがわかっているケースでしょう。
組織の立て直しを行うとき、何かしら変化が発生します。多くの場合、それは組織の都合で実施しなければいけない場合が多い。つまり従業員が選択したものではないケースです。
そのような場合、従業員の中で変化への心理的な抵抗が発生すると想定しあらかじめ対策を検討したほうがよいでしょう。
組織を変えるときに必ず考慮すべきポイント
では組織の立て直しを成功させるためにどのような対策を打つべきでしょうか。
MITの非常勤教授であり組織開発の分野のパイオニアであるリチャード・ベックハードの組織変革の公式(Change Formula)を使って、組織を立て直すときに必要な要素をお伝えします。
組織変革の公式(Change Formula)
これは、1. 現状に対する不満のレベル、2.ビジョンの望ましさ、3. 変革の実現性の高さ (リスクと混乱の最小化)の3つの要素の掛け算が、変わるコスト(負担)よりも大きければ、変革が実現するという公式です。
現状に対する不満のレベル
人は、現状が幸せで問題がない状態であれば変わろうとしません。そのため彼らに現状の課題を認識させる必要があります。
ビジョンの望ましさ
現状の課題を認識し、変わらなければいけないと感じても、目指す状態が望ましい状態でなければ、前に進もうとはしないでしょう。そのため、望ましいビジョンを描く必要があります。
変革の実現性の高さ (リスクと混乱の最小化)
現状の課題を認識し、望ましいビジョンに鼓舞されたとしても、計画の実現性が低ければ、変革を進めようとはしないでしょう。
組織変革の公式が教えてくれる3つのポイント
この公式は、組織を