• 社内の抵抗にあってプロジェクトが進まない
  • せっかく時間をかけて作り上げた改善策が社内の反対にあって却下された
  • トップは変革を打ち出しているのに社員に自分事意識がなく進まない

など、組織で何かを変えるとき、必ず発生するのは「社員の変化への抵抗」です。

チェンジマネジメントでは、を実施するとき、抵抗は必ず発生することを前提に、変革プロジェクトの初期のタイミングで、起こりうる抵抗を洗い出し、社内の抵抗によって変革が失敗しないようにあらかじめリスク対策を立てます。今回は、その抵抗対策を検討するときの重要なポイントについてお伝えします。

 

そもそも抵抗とは何か?

抵抗とは、変化に対する感情的な反応です。特別なことではなく、誰にでも起こりうる反応で、業務改革、風土改革、システム導入等で何かを変えるときにはあらかじめ想定しておくべきものです。

抵抗というとネガティブなイメージがありますが、悪いことばかりではありません。誰かが抵抗する(=変革に対して異議を申し立てる)ことにより、変革推進者は、変革チームでは想定していなかったリスクや課題に気付くことができ、変革のプランをより多角的に分析し、強固なものにできるのです。

人はなぜ抵抗するのか?

そもそも人間は、自分の予測や想定と違うことが起こると脳が「何かがおかしい」と察知し、ストレスや居心地の悪さを感じます。例えば、転職や異動などで、今までと違うやり方や考え方に対応することになったとき慣れずに精神的にぐったり疲れてしまうなんてことがあると思います。これは脳がいつもと違うことをしなければいけないのでストレスを感じているからです。

また、組織の中での変化は誰かが何かを失うことを意味している場合もあります。例えば、現行システムに関しては生き字引として社内で重宝されていたAさんにとって、システムが刷新されることは自分の今までの生き字引としてのステータスを脅かしかねません。恐れや不安を感じて当然でしょう。

さらに、習慣になっていることを変えるには労力がいります。喫煙している人が禁煙するには相当の努力がいります。食べるのが大好きな人にとってのダイエットもしかりです。

安全でいたい、いつもと同じ状態でいたい、日々予測できる環境で生活したいと思うのは人間にとって当然の欲求です。

 

立場が変われば、捉え方は変わる

変革を推進するときに考慮しなければいけないのは、立場が変われば捉え方が変わるということです。

変革を推進しているメンバーにとって、抵抗している人たちは、「新しいものに対して保守的だ」「何に対しても抵抗をする」「会社が決めたことになぜ従わないなんておかしい」と映るかもしれません。

反対の立場に立ったら、どのように景色が変わるでしょうか?

新しいことを取り入れるのは大変だ
うまくいくとは思えない
私が大切にしてるものがなくなってしまう
私がやりたいこととは違う
変革の目的に納得がいかない
変革の目的は課題を解決するソリューションになっていない
自分は活動の蚊帳の外に置かれている
忙しくて活動をする時間はない

様々な人がいて様々な立場があれば、唯一正しい答えなどありません。

チェンジマネジメントでは、推進メンバーとの温度差が抵抗を作り出しているかもしれないことを意識し、抵抗への対策を計画します。

 

脅威を最小限にし、報酬反応を活用する

どのように抵抗への対策を練るか?

チェンジマネジメントでは、人の心理的欲求を意識して、対象者ができるだけ不安や苦痛を感じないよう、変化を前向きに受け入れられるように計画を立てます。

例えば、重要人物でありたい、尊重されたい等の社会的欲求が強い人に対しては、公の場で認める、ポジティブなフィードバックを与える、ポジションをあげるための新しいスキルを提供するなどの報酬を提供するように設計します。また、脅威を少なくするためには、新しいスキル等習得するときに取り残されたり、恥ずかしい思いをしないように工夫をします。

 

抵抗管理で重要な3原則

さらに、チェンジマネジメントで抵抗への対策を計画するときに、必ず考慮する以下の3つの原則があります。

  1. 「ゴール」「変革がもたらすもの」「変わらなければ発生する損失」を明確に伝える
  2. できるだけ早い段階で変革の活動に巻き込む
  3. 変革のステップを実行しやすいものにする

 

ゴール、変革がもたらすもの、変わらなければ発生する損失を伝える

なぜ変わらなければいけないのか、変わることによってどのようなベネフィットがあるのか、何を目指しているのかに納得しないと人は動きません。

そのため、必ず「ゴール」「変革がもたらすもの」「変わらなければ発生する損失」を明確に伝えるということを行います。

気を付けるべきポイントとして、変革メンバーの視点でなく、相手の視点に立ってこれらを伝える必要があります。なぜならば、人は自分に関係すること、興味があることしか、耳に入らないからです。

「伝えた」=「伝わった」ではないことを念頭に置いて、伝える内容を構成する必要があります。

 

できるだけ早い段階で変革の活動に巻き込む

人は自分の計画には反対はしません。変革の計画を立てるときに、意見を聞いて、よりよい計画をつくることで味方になってもらえるという効果があります。最初の段階で巻き込んでおかないと、変革を他人事ととらえ、協力を得られなくなる可能性があるので早めの対応が重要です。

変革のステップを実行しやすいものにする

変わるためにやらなければいけないことが難しいと、人は動こうとしません。いくらやる気があっても、やることが難しければ人は戸惑い、前に進むのをやめてしまいます。

そのため、やるべきことを実行しやすいレベルにブレイクダウンして、無理なく実施できるようにお膳立てすることがキーとなります。

ぜひ変革の現場で活用してみてください。