チェンジマネジメントの目的は、変革への抵抗を抑え、変革へのエンゲージメントを高め、変革を成功に導くことです。このために初期の段階で必ず行わなければならないのが、ステークホルダー(関係者)分析です。

今回の記事では、ステークホルダー分析とは何か、ステークホルダー分析の目的、どのようにステークホルダー分析を行うのかをご説明します。

 

ステークホルダーとは?

チェンジマネジメントにおけるステークホルダーとは、変革の関係者です。以下のような人たちがステークホルダーにあたります。

  • チェンジによって、今やっているやり方を変えなければいけない人
  • 新しい状況をデザインするために必要な情報を持っている人
  • チェンジに対してに影響力がある人

ステークホルダー分析とは

ステークホルダー分析とは、チェンジマネジメント戦略・計画を立てるために必要となる関係者の情報を収集・分析することです。

チェンジマネジメントは、組織を現状から目指す姿に導くための手法です。組織は個人の集合体。つまり組織の中の人たちに、目指す状態に移行してもらう必要があります。

そのためにまず相手を理解することから始めます。

ステークホルダーを適切に管理しないと発生する問題

ステークホルダーを適切に管理していないと以下のような問題が発生するリスクがあります。

  • 必要な協力を得られず、成果を出せない
  • 必要な情報を十分得られず、間違った「あるべき姿」を設定してしまう
  • 合意が得られず、ちゃぶ台返しにあう
  • 抵抗にあって変革がとん挫する

このようなことを避けるため、チェンジマネジメントではできるだけ早い段階でステークホルダー分析を行います。

ステークホルダー分析のプロセス

ステークホルダー分析で行うことは、変革の規模やステークホルダー分析を行うタイミングなどによって異なりますが、共通して行うことは以下の通りです。

  1. ステークホルダーを洗い出す
  2. ステークホルダーをセグメント化する
  3. ステークホルダーグループに優先度を明らかにする
  4. ステークホルダーグループの現状のスタンスと期待する状態を明確にする
  5. 想定される「阻む壁」を明らかにする

ステークホルダーを洗い出す

ステークホルダー分析

まずは変革によって影響を受ける人を洗い出します。

大規模な変革の場合、個人レベルでの洗い出しは難しいため、部署などのグループ単位で洗い出します。

ステークホルダーをセグメント化する

組織変革で、個人単位で対応することは難しいため、ステークホルダーを影響を受ける内容やステークホルダーのポジションなどでセグメント化します。

ステークホルダーグループの優先度を明らかにする

変革は、限られた時間、予算、リソースでで進めるので、すべてのステークホルダーに一様に同じエネルギーをかけるわけにはいきません。

そのためステークホルダーに優先順位を付けます。

洗い出したステークホルダーのなかで、適切に対処しないと変革がうまくいかない可能性があるグループを特定します。

意思決定のために最も重要なのは情報

ステークホルダーグループの現状のスタンスと期待する状態を明確にする

現状を明らかにする

優先度が高いステークホルダーグループの現状の変革へのスタンスと、変革において彼らに期待する状態を明確にします。

例えば、変革で大きな影響を受けるA部署は、現状変革に対して反対をしているが、期待する状態は、変革に対して自分事として前向きに捉えてほしいと考えている、というようなことを明らかにします。

想定される「阻む壁」を明らかにする

現状から期待する状態に変わってもらうにあたって、阻む壁は何かを明らかにします。

例えば、先に挙げたA部署の場合、想定されるのは、変革に協力しない、変革を邪魔しようとするなどが考えられます。

ステークホルダー分析の次のステップ

ステークホルダー分析で得た情報は、エンゲージメント計画、コミュニケーション計画、トレーニング計画などのチェンジマネジメント計画を立てるときに使われます。

まとめ

ステークホルダー分析は、チェンジの関係者を理解する活動で、チェンジマネジメントにおいてなくてはならない情報です。

皆様のご参考になれば幸いです。